勝手に医療英語メモ

旦那さんが英国で治療を受けています。英語で受け取るお知らせや結果を理解するために調べた医療用語のメモです。ご参考まで!

医療観光体験記 ~クアラルンプール編①~

 

こんにちは、Tomです。

今回は腫瘍が初めて見つかった時にマレーシアのクアラルンプールに行って手術を受けた時の話①です。クアラルンプールに行くことになった経緯と到着までをお話します。

 

みなさんは「医療観光」という言葉をご存じでしょうか。日本は医療水準が高いので日本在住の方がこれを検討するケースは少ないと思いますが、駐在や留学などで海外に長期滞在したことのある方や、外国人と結婚して海外移住している方は聞いたことがあるかも知れません。

 
医療観光(いりょうかんこう、医療ツーリズムメディカルツーリズム英語Medical Tourism)とは、居住国とは異なる国や地域を訪ねて医療サービス
診断治療など)を受けることである。

医療観光 - Wikipedia

 

こんな人にオススメ

・今の治療方針に不安な方のセカンドオピニオンとして検討

・手術や診察を長いこと待っている人

 

旦那さんに癌が見つかった時、私たちはインドネシアに住んでいて、加入していた保険の担当者に癌が見つかったことを電話で伝えると、すぐに家に来てくれました。私たちとしては、今後の手術や治療の際の請求方法について事前に確認しておきたかったのです。

ところが、彼は開口一番「マレーシアに行った方がいい。」と言うのです。私たちの担当者さんは何度も表彰される優秀なスタッフで、この数か月前にインセンティブツアー(insentive tour:報酬旅行)でマレーシアのクアラルンプールに行っていたそうです。ところがその旅行中に彼の奥さんが激しい腹痛に襲われそのまま入院、手術を受けて大きな腫瘍を摘出できたそうです。で、彼は保険担当者として数々の International Hospital の様子を見てきていますが、クアラルンプールの病院での処置の速さと的確さに驚いたそうです。しかも当然その治療費は保険でカバーされ、帰国後に医療費を全額「返還請求」できたそうです。その安さにまた驚いたと言います。

幸い、私たちが加入しているプランも海外(この場合はインドネシア以外)でも適用されるので、必要書類さえ揃えられたら帰国後に返還請求できると言うのです。

 

次に海外で治療を受けるかどうか検討する時のポイントをまとめました。いざ行った先で「あ~、これも必要だった!」ということがあってもより手間がかかります。転ばぬ先の杖は何本も用意しておきましょう。

 

*確認すべきこと*
①自分が加入しているプランが国外でも適用されるか
②どこの国や地域で適用されるか(米国は除外されている場合が多い)
③適用除外内容はあるか(癌、婦人科系の病気は適用外の場合があります)
④現地のコーディネーターはいるか
⑤現地での医療費の支払い方法は(先払いか、保険適用限度額はあるか)
⑥いつ帰国できるのか
 
①②③は、保険の担当者に直接確認できるなら、自分のケースを伝えて何ができるか相談した方がいいと思います。
私たちの場合は、入院時の保険適用の詳細が決まっていたので、例えば食事は1日いくらまで、ベッドには1泊いくらまで、という上限もありました。上限からはみ出た分は自己負担になります。
 
④現地のコーディネーター
医療観光で行く国の言葉に不慣れな場合、現地のコーディネーターさんの存在はとても重要です。私たちの場合はマレーシア在住のインドネシア人のコーディネーターさんに入院前の交渉から、空港送迎の手配までお願いしました。彼女が私たちが加入している保険会社ともインドネシア語でやりとりしてくれたので本当に助かりました。
入院前の交渉というのは、受けたい治療の内容によって、受け入れてくれる病院を探すことです。まずはコーディネーターさんに癌が見つかった時のColonoscopyの報告書を送り、その腫瘍摘出手術をしてくれる病院を探してもらいました。その分野で優秀な医師を探し、その医師が勤務する病院を確認して受け入れ可能かどうか交渉してくれました。
 
⑤医療費の支払い方法
保険会社との確認がとれれば自己負担はないのか、先に自分で払って後から請求するのか、海外送金の方法やどのクレジットカードが使えるか、などをコーディネーターさんに聞いてもらいました。先に自己負担する場合は、大きな金額を医療観光で行く先の国の通貨で支払うことになるので、海外送金サービスの口座の準備もしておきました。
 
⑥いつ帰国できるのか
手術後退院してもすぐに飛行機に乗れない場合があります。特に開腹手術をした場合は、傷が完全に閉じないまま飛行機に乗ってしまうのは危険です。これもコーディネーターさんを通して病院に質問したところ、旦那さんの場合は手術後4〜5日で退院できるけど、飛行機に乗るのは抜糸の後、術後1週間から10日後だろうと言われました。つまり、現地で病院近くの宿泊先が必要ということです。事前に分かっていたので予約サイトで宿泊先の目星をつけておいて、退院日が決まってから予約をしました。退院後にすぐ飛行機に乗れる場合は、往復でチケットを予約しておき、コーディネーターさんに病院から空港への送迎もお願いできます。
 
次に、入院する先が決まったら、出発前に用意した方が良いものをまとめました。
*出発までに用意すると良いもの*
・既往歴をまとめたもの
・あれば検査結果や診断画像など
・服用中の薬のリスト
・保険会社の請求書類
・支払い可能なクレジットカード
書類はコピーをとっておいて、渡しても戻って来ないくらいの気持ちでいた方がいいと思います。
保険会社の請求書類については、入院時に受付でも、病室に来るナースにも、手術の執刀医にも、とにかくいろんな人に「後で保険の請求をするから書類に記入してもらう必要があるんだ」ということをアピールしておくと後々スムーズです。
病院側としては、自国での保険請求ではなく海外の、しかも保険会社によって異なる書類はイレギュラー中のイレギュラーです。うっかり忘れられたり、後でお願いしたら担当の先生が今日は不在だから書いてもらえない、などということを避けるために、最初から「海外の保険会社の請求をするからよろしくね!」というアピールはしておいた方が良いです。特にボスっぽいナースを見つけたら仲良くなっておきましょう(笑)
 
最後に治療を受ける国に到着した時のことをお話します。
現地のコーディネーターさんがいる場合は、空港送迎の手配もお願いできます。コーディネーターさんが到着予定時刻、ドライバーとの待ち合わせ方法、病院への連絡などをしてくれます。空港に着いてからも入国審査があったり、荷物を待ったり、すぐに出られないので、その先でドライバーさんが待っていると思うとほんとに心理的負担が減りました。
 
おわりに
 
インドネシア在住の外国人の間では、大きな病気になったらシンガポールへ行く人も多いのですが、私たちはクアラルンプールに行って手術を受けて大正解でした。退院後から帰国までの滞在費なども考慮すると、シンガポールに行く場合に比べてとても安く済んだし、医療技術も高かったので術後の回復も早く、感染症にもかかりませんでした。(これは蒸し暑い気候の国では気になることでした。)
次回は入院中や退院時のことをお話したいと思います。
この体験記が治療を必要とする方の選択肢を増やすヒントになれば、また海外滞在中に病気になって不安な方の参考になれば、とてもうれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。